46.胃がん 2010年2月8日掲載
悪性腫瘍は、「がん」と同義語的に使われていて、肉腫等も一般にそう呼ばれることがあります。しかし、正確には「がん」は、粘膜上皮から発生した悪性腫瘍―がん腫(胃に発生するものを胃がん)を言います。
ここでは、胃がんについてのべますが、胃がんは従来から日本を含め韓国、中国、東南アジアに多い病気です。現在、胃がんにかかる人(罹患率)は減っていると推測されていますが、まだ、2009年の死因別の死亡統計では、男女とも肺がんに次ぎ第2位です。胃がんその物は遺伝しませんが、肉親に胃がんにかかった人がいる場合は注意が必要です。なぜなら、最近の研究でも、ふたたび食生活の習慣、中でも食事の中の塩分の危険性が指摘されました。
また、1983年に胃の中にヘリコバクターピロリ菌が発見され、その細菌が胃炎、胃十二指腸潰瘍の原因や胃がんの発がん因子となることが明らかになりました。そして、免疫の十分に発達してない子供の時(5歳くらいまで)に、ヘリコバクターピロリ菌は、家族内から感染が起こるとされています。
一方、胃がんは大腸がんと並んで、早期に見つかればなおりやすいがんで、粘膜下層までにとどまるものを早期胃がんといい、5年生存率(診断から5年後に生存している患者さんの比率)は90%以上です。いまだ、胃がんを尿や血液などで診断することはできませんので、40歳を越えたら毎年検診を受けることをお勧めします。
最近では、内視鏡検査の機器や診断能が目覚ましく進歩してきています。細い(5〜6mm)径の経鼻内視鏡を用いることで、今までより、患者さんにとって負担なく検査ができるようになりました。また、高画素拡大内視鏡や狭帯域内視鏡フィルターシステム(Narrow Band Imaging : NBI)、超音波内視鏡の併用などでより正確に早期の胃がんの拡がりや浸達度が診断できるようになりました。また、転移の有無を調べるためにコンピューター断層撮影(Computed Tomography : CT)検査などが行われます。
治療では、転移のないものに限られますが、内視鏡下手術がさかんに行われています。粘膜内のものでは内視鏡を用い切除する粘膜切除術(EMR)が進歩し、最近では、広く拡がるものも内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で治療できるようになりました。また、手術後のquality of lifeを考え、腹腔鏡を用いることで、手術侵襲を少なくでき、手術範囲を必要最小限とする縮小手術を選択するようになっています。
どのような胃がんに、どのような治療方針をとるかは日本胃がん学会で「胃がん治療ガイドライン」第2版が指針として定められており、科学的根拠と治療の推奨度に従い治療方針が決められています。現在、第3版改訂作業が行われていますが、医師用のガイドラインのみならず、一般用の「胃がん治療のガイドラインの解説」が発行されており、「胃がん治療を理解しようとするすべての方のために」を日本胃がん学会のホームページからダウンロードできるので参照してください。治療はがんの進行の程度を表す病期できまります。「ステージ」といわれ、担当医の先生に診断をきくときに必要になる言葉です。
どのような疾患でも同じですが、診断や治療につき理解し、納得し、医療を受けてください。納得できないときには「セカンドオピニオン」を担当医以外の医師に聞くこともできます。現在では、多くの医師はセカンドオピニオンに関しては一般的なことと認識していますので遠慮なく申し出ることができるはずです。