37.「ピロリ菌ってどんな菌?」 2008年8月18日掲載
最近、新聞やテレビでピロリ菌が話題になっていますね。でも、ピロリ菌っていったいどんな菌なのでしょうか。
【ピロリ菌は胃酸の中でも元気ピンピン】
胃酸は食べ物を溶かす非常に強い酸で、これまで、胃の中に細菌は生存できないと考えられていました。ところが、1983年にオーストラリアの医者が胃の中に小さな細菌がいることを発見しました。これがピロリ菌です。ピロリ菌は特殊な酵素を持っているため、胃酸の中でも生きていけるのです。
【ピロリ菌が起こす病気は?】
ピロリ菌の発見は世界中に衝撃を与えました。それというのも、ピロリ菌が胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因だということがわかったからです。潰瘍の原因が細菌だなんて今まで誰も考えていなかったのですから。それだけではありません。胃炎や胃癌、胃悪性リンパ腫などの病気もピロリ菌が原因ではないかと考えられています。
【ピロリ菌をやっつけろ】
今まで潰瘍というと、いったん治ってもしばらくするとすぐに再発してしまうやっかいな病気と考えられていました。ところが、ピロリ菌をやっつけること(除菌:じょきん)によって、胃潰瘍や十二指腸潰瘍が治りやすくなり、また、再発しにくくなることがわかってきました。胃の中にピロリ菌がいるかどうかは、胃内視鏡検査(胃カメラ)、吐いた息の成分検査、血液検査などで調べます。しかし、実際に除菌するには、潰瘍の診断がついていないと保険がききません。そのため、通常は胃カメラ検査で潰瘍と診断してから除菌します。除菌治療は、3種類の薬を7日間内服することで行います。この治療で約80%の方でピロリ菌がいなくなります。最初の治療でうまくいかなかった場合は、別の薬の組み合わせで再除菌を行い、約90%の方で除菌が成功します。
【ピロリ菌は珍しい菌じゃない】
このように様々な病気の原因となるピロリ菌ですが、けっして珍しい菌ではありません。日本では、40歳以上の方の約60%がピロリ菌に感染していると言われています。多くの人がピロリ菌に感染しているのに、なぜ、潰瘍になる人とならない人がいるのかは、まだはっきりと分かっていません。これから解明すべき問題もたくさんあります。しかし、ピロリ菌の除菌で潰瘍を治すという今までとまったく違った潰瘍治療の方法は、今後ますます広がっていくことでしょう。