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医学の豆知識

36.アルコール依存症 2008年7月24日掲載

「意志が弱いからやめられないんだ」
「いろいろストレスがあるから飲みすぎるんだ。問題を解決すれば飲まなくなるさ」
「あれは性格、人格の問題だから…」

 これらは、アルコール依存症についてのよくある誤解です。アルコール依存症は脳の変化に基づく病気です。意志や理性では酒をやめられません。本人もやめたいと思っていますが、コントロール不能飲酒となってしまうのです。これは簡単に言うと、酒を飲み続けているうちに、脳の中に飲酒欲求の中枢が形成され、食欲や性欲などの本能とほとんど同じレベルの欲求になってしまう、と理解してください。

「暴れないからアル中ではない」
「酒を飲んでも仕事はできているから…」

 これらも誤解です。アルコール依存症の人すべてが酒乱タイプではありません。むしろ、暴れない人の方がずっと多いのです。おとなしく寝つくまで飲み続け栄養失調にまで至る、うつ状態となり人とあまり話をしないなど、家庭に尋ねても、「派手な迷惑をかけるような飲み方はしてこなかった」という人が大多数です。また、就労しているアルコール依存症者のケースでは、仕事熱心である場合が多く、むしろ仕事人間で、酒と仕事しかないという生き方の人が多いのです。

「手が震えないし、朝から飲まないから違うだろう」

 これも誤解です。手の震えは離脱症状(禁断症状)の一部に過ぎません。手は震えてなくても、不眠やイライラ、発汗、動悸(どうき)など、他の身体依存徴候が出る場合もあります。あるいは、それを回避するように、隠れ飲酒を続けているのかもしれません。

 また、すべてのアルコール依存症者が朝から飲んだくれているわけではありません。病気の進行に伴いアルコール補給の時間的間隔は短くなり、「休日だけ朝から飲酒」が平日にも移行して、出勤前に飲むようになります。

 「ばれないように」「におわないように」と取り繕いますが、それが困難になると、「急用ができたので遅刻する」「風邪で休むと電話しておいて」などと遅刻や欠勤でかわそうとします。

 アルコール依存症になると、「節酒でいく」「減酒しながらやめる」ことは、一生不可能です。また、「自力でやめる」というのも不可能です。依存症専門病院を受診し、入院や外来通院での断酒プログラムを受け、自助グループ(断酒会やAA)の例会やミーティング参加を続ける以外、回復の道はありません。

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