16.心筋梗塞 2003年2月12日掲載
心臓は筋肉の袋のような形をしており、全身に血液を送るポンプの役割をしています。その表面に心臓の筋肉に血液を供給する左右一対の血管(冠動脈)があります。動脈硬化により冠動脈の内側に狭窄が生じて血液が流れにくくなると狭心症となり、また、完全につまると狭窄部より下流の心臓の筋肉が死んでしまい心筋梗塞となります。
主症状は、狭心症では前胸部の圧迫感が労作時に出現することが多く安静により5分位で軽快しますが、早朝睡眠中に起きるタイプの狭心症もあります。心筋梗塞では狭心症より症状が激烈で、突然強い胸の圧迫感が出現し30分以上も持続します。冷汗や左肩の痛みを伴うこともあり、また、その場で死亡することもあります。狭心症、心筋梗塞とも朝方におきやすいという特徴があります。
診断は、心筋梗塞であれば心電図でほぼ確定診断できますが、狭心症では通常の心電図のみでは診断できない場合があります。このため、運動前後の心電図を比較する運動負荷心電図、少量の放射性同位元素を注射して調べる負荷心筋シンチグラム、後述する心臓カテーテル検査などが行なわれます。カテーテルとは、ボールペンの芯のような長さ1.2m直径1mm位の細長い管のことで、手や足の動脈からカテーテルを心臓まで挿入し、これを用いて冠動脈のどこにどのくらいの狭窄があるかを診断する検査を心臓カテーテル検査といいます。心臓カテーテル検査は冠動脈の病変を知る最も確実な検査方法ではありますが、ある程度の危険性を含みます。
治療については、狭心症ではニトログリセリンやβ遮断薬などの薬物療法が選択されますが、近年では冠動脈の狭窄部をカテーテルの先端につけた風船等によって拡張するやり方(経皮的冠状動脈形成術)が広く行なわれるようになりました。心筋梗塞についても薬物療法のほかに、発症早期に経皮的冠状動脈形成術を行ない、つまった冠動脈の血流再開を試みられるようになり、死亡率も現時点で10%以下にまで改善されています。
狭心症・心筋梗塞を予防するためには高血圧・高脂血症・糖尿病・喫煙などの危険因子をなるべく持たぬよう気をつけることが肝要です。また、胸の圧迫感を自覚する際には早めに主治医にご相談ください。