8.白内障 2002年10月15日掲載
人の眼は、よくカメラにたとえられます。カメラのレンズに相当する働きをするのが水晶体です。人の水晶体は、直径約9ミリ、厚さ約4ミリの凸レンズです。元来水晶体は透明で、光を透過し、眼底の網膜に光を集め、外界の物の像を結ぶ働きをしています。透明なはずの水晶体が濁ってくると、光が散乱されて、網膜にきれいな像を結ぶことが出来なくなってきます。この水晶体が濁った状態を、白内障といいます。
では、白内障になるとどのような症状が、現れるでしょうか。水晶体の濁りが、だんだん中央部に及んでくるとかすんできます。より濁りが進行すると、かすみも強くなり、次第に視力が低下してきます。また、濁りの部分で光が反射する為に、光の強い戸外や逆光ではまぶしさが強くなります。
水晶体は蛋白質33%,水66%、ミネラル1%から構成されていますが、この透明な蛋白質が老化に加え、外界の誘発因子などにより、蛋白分子が大きくなり、水に溶けにくくなり濁ってくるのです。水晶体の濁る原因は、老化のほか糖尿病やアトピー性皮膚炎などの全身疾患や網膜色素変性や緑内障などの他の眼疾患、放射線、薬剤、遺伝、外傷などがあります。
老人性白内障は、平均寿命の延長・老齢人口の増加に伴い、今後増えていく疾患です。薬剤治療に関しては、水晶体の混濁を遅らせる薬剤が用いられていますが、混濁がなくなり治るものではなく、程度の差はあっても老人性白内障は進行性の疾患です。通常は、混濁が進行して視力が低下し、まぶしさなどが強く日常生活に支障をきたすようになると、手術を行います。現在では小さな切開創から超音波を用いて水晶体を乳化吸引して、眼内レンズを挿入する術式が一般的で、比較的短時間で、安全に行われるようになってきています。他に視力に関係する眼疾患がなければ、視力を回復することが可能です。手術の時期は、主治医とよく相談したうえで行えば心配することはありません。
老人性白内障は、適切な治療により、視力の回復が望める疾患です。